コンジョイントとは/コンジョイント実務からのお話
弊社では、年間100~150本以上のWEBコンジョイント案件に携わっています。
1社単独としては、かなりの量の案件数です。
弊社においては7年以上、創設スタッフにおいては10数年以上の新世代コンジョイントの経験を保有しています。
こうした膨大な知見に基づき、コンジョイント調査における様々なキーポイントやトピックをご紹介していきたいと思います。
コンジョイント・実施テクニック
コンジョイント分析を行う上で、数学的な説明を行う気は一切ございません。
従って、数値の算出方法についての概念は説明できることが多いですが、数式については、数学者の先生にお願いすることにしてここでは、そうして数学、統計学的なアプローチではなく、弊社での経験に基づく実施上のチップス等を紹介していきたいと思います。
これは皆様に向けた情報というより弊社でコンジョイント調査(のみならず調査企画全般に言えますが)を企画していく上での弊社スタッフへの指針と言った方が良いかも知れません。
TOPIC
コンジョイントを適用するケース bookmark
コンジョイント分析を適用するのは、どのようなシーンやケースだろう。
コンジョイント分析は、様々な調査シーンにおいて、非常に強力なツールであることは間違いない。
しかし、どんなツールにも使い方や、使うべき場所というものがある。
調査目的を確認する。 bookmark
コンジョイント分析に限ったことではない。調査全般に言えることだが、調査目的はクリアにする必要がある。と言うよりクリアでなければならない。
例えば、
- 製品改良などにより自社製品のシェアがどのように変化するのか
- どのように製品改良を行っていくのが良いのか
- 消費者は本当は何をどの程度重視、選好しているのか
等々。
目的は、多くとも大きく1~3つ程度に絞り込んでおく必要がある。
調査目的が明確に表現できない場合、コンジョイント分析(あるいはどの調査でも、その大部分)は失敗(というより失敗していることすらわからない)する可能性が大きい。
手法を調査目的にあてはめない。 bookmark
コンジョイント分析は、調査手法のひとつである。
当たり前のことであるが、コンジョイント分析を実施することが目的ではない。
しかしながら、コンジョイント分析の斬新さやダイナミックなアプローチは大きな魅力となり、時にコンジョイント分析をどう調査に組み込むかに終始してしまうケースが見受けられる。
コンジョイント分析も他の多変量解析、分析手法も単なるツールである。有効ではるが、常に万能ではない。
『ノコギリを使うために、家を建てる』ということのないようにしなければならない。
それは、簡単である。前述のように『目的をクリア』にすることである。
常に調査の目的をクリアにしておくことで、このような本末転倒を防ぐことができる。当たり前の話であるが、よく起こることである。
「組み合わせ提示」はコンジョイントのためであり、「組み合わせで提示して欲しい」では意味がない bookmark
これはどういうことだろうか。
コンジョイントは、CONsider JOINTly つまり、商品特徴組み合わせて提示するのは、そうすることでどのような商品特徴が重視され、どのような効用をもたらすのか計測するために必要だから、そうしているのである。
ただランダムに組み合わされているのではない。
時に、コンジョイント質問の画面をご覧いただいた顧客から、このように提示して欲しいと既に希望の組み合わせの一覧で依頼を受けることがある。
どのような組み合わせが最も良いのか評価したいとおっしゃられる。
確かに、結果的にどのような組み合わせが良いのかはコンジョイント分析で明らかにはなろうが、これではコンジョイント分析を実施する意味合いはほとんどない。
コンジョイント質問からコンジョイント分析結果への道筋がクリアになっていない場合このような事態に陥ることが多い。
コンジョイントはどのように結果を導くのか、理解して(理解していただいて)おく必要がある。
現実に合わせる必要はない bookmark
『超現実主義症』と弊社では呼ぶ。
実際の現場と同じ商品構成やラインナップでないと、どうもイヤだ!状況になってしまうことである。
コンジョイントは仮想世界を作り出し、そこでどのような商品選択が行われるのか実験しているのである。
あまりに無意味な組み合わせ提示は避けるべきであろうが、それはあくまでもコンジョイント質問を効率的に行うためだけである。
弊社の商品ラインナップにはこれしかないから、とかこの商品はこの価格で売っているから、等々、どうしても実際の商品構成や商品ラインナップに合わせたくなってしまう方がいる。
気持ちとしては重々わかることではあるが、現実の商品構成やラインナップに合わせていたのでは、バーチャル世界での選択可能性が実験できない。
矛盾や非効率な組み合わせは排除する必要があるが、現実に意地でも合わせる必要は全く無いどころか、悪影響をもたらすことが多い。
現実的な商品構成等々を表現することが目的になってしまっていると、このような過ちを犯しやすい。
コンジョイントの画面は特にCBCではかなりリアルに店舗の棚などを表現できてしまう。そこで目的が不明確になってくることが多い。棚割を表現するのに全勢力を注いでしまい、どんどんコンジョイント分析を導入した本来の意味が薄くなってしまうのである。
やはり何を調べたいのか常にクリアな目的に立ち返る必要がある。
コンジョイント分析を実施するために調査を行っているのではないのと同様、棚割表現を画面上で行うためにコンジョイント分析を行っているのではないということである。
目的→コンジョイントが有効→組み合わせ表示が必要
というのが正しい流れであることは明白であろう。
本当に調査すべきなのか。 bookmark
一呼吸おいてみよう。
たくさんの情報を手にしてハンドリングに困っている企業や担当者は多い。
- 大量の返信された顧客アンケートハガキを手元にして何か分析できないか。
- あれもこれも聞いてみよう、きっと後で使うから。
本当にそうだろうか。
あれもこれも。 bookmark
リサーチを企画する際、しっかりとした目標設定(シンプルで明快なもの)を行わないと、『あれもこれも』盛り込んでおく強迫観念に駆られてしまったり、単純にてんこ盛りの企画になってしまうことが非常に多い。
コンジョイント分析においてもそうである。やたらめたらにたくさんの要素を盛り込もうとしてしまう。
人それぞれではあるが、人間の選択基準などせいぜい5~6つの要素がほとんどである。それ以上の要素を一度に考えることなどなかなかできないものである。
しかしあまり考えずにスタートすると、「あれもこれも症候群」にかかってしまう。とにかく取り漏らしてはいけないという形で15個も20個も選択基準の視点である属性を盛り込んで欲しいとうリクエストが多々ある。
無論、商材によっては確かにたくさんの選択基準を持つものもあろうが、ほとんどの場合で、思慮不足による肥大化は否めない。
一般的な市場調査でも質問を吟味せずにただひたすら思いつくまま質問責めのように盛り込むケースも非常に多い。ネット調査の罪の一つかも知れない。
とにかく簡単に質問を盛り込むことができるため、本当に大事な質問を選択する。聞き方を磨き上げるような努力はどうやら過去のものになりつつあるのかもしれない。
そして大量の謝礼ポイントと百科事典のような集計表と報告書ができあがってしまう。だれも全て読まないような。。。
目的をシンプル&クリアにして、聞きたいことを吟味すべきだ。
コンジョイントでも全く同じだ。
本当に調べる必要があることなのか。 bookmark
質問も吟味した。ボリュームもそんなに多くない。聞き方も念入りに練り上げた。
コンジョイントで言えば、重要だと思われる属性と水準を丁寧に選りすぐった。
そこで落ち着いて考えてみたい。
コンジョイント分析調査にかかわらずであるが、本当にそれは調べる必要があることなのだろうか?
調査が全て終わって同僚に「○○の結果はこんなんだった」と言ってみた。
すると同僚は「そうだよ。先々週の調査でもそうだった」
え!調べていたのか?
大事なことは既に調べられていることも多い。
実際に調査しなくてもネットや会社のデータベースにあるかもしれない。
あるいは、自分の経験からわかることだって相当多いはずである。
コンジョイント分析のために一生懸命、属性と水準を選んでも、いざ組み合わせてみたら、どの組み合わせが一番人気かはすぐわかった。
本当に調べる必要があるのか。。。。
調査目的の明確化は本当に大切であり、既に周りにそうした情報がないのか、調べなくてもわかることではないのか、等々。。。広い視野で見たいものである。
たまに、クライアントから多々以下のような問い合わせをお受けする。
「一番人気のある組み合わせを知りたい」
これは即答できる訳です。「全部入りです」
つまり、全部入りとは、「性能が高く、かつ安く、人気のデザインのもの」
当たり前である。シミュレーションの必要もない。
実際に一番人気のものはその通りになる。
もちろん、全て全部入りで片付けられないことも多いが、大抵のことはわかっている。単に一番人気の構成を知りたいだけなら、人気のデザインもいちいち調べなくてもわかっているはずだ。しかも企業の担当者であればなおさらである。価格が安いものが良いなどは聞く必要もないであろう。
「現行の商品を一番人気の構成にした時に、シェアを維持するにはどの程度価格を上げることができるのか目安を知りたい。」
これならばコンジョイントがお勧めですとはっきり申し上げられる。
まず、調べる必要があるかないか判断することで無駄なコストと時間を縮小できる。
コンジョイント実施テクニック bookmark
コンジョイント分析を適用することを決定した後のプロセスとテクニックについて説明する。
重要な属性を見極める bookmark
「価格」なのか、「機能」なのか、「デザイン」なのか、何が重要な属性なのかあらかじめわかっていれば、コンジョイントを実施する意味合いのかなりが失われてしまう。
無論、それがわかれば苦労しないというケースも多々あるであろう。
ここでいう「重要な属性」とはコンジョイント分析にかける属性として意味があるかどうかである。
例えば、家電製品などの調査に「価格」属性を入れないのは、大部分のケースでやはりおかしいと言わざるをえない。
多くの消費者にとって家電製品の価格は重要なファクターであることは明白である。
しかし、チューイング・ガムの調査で「価格」は時にそれほど重要ではないことがある。
もちろん、ケースバイケースであるが、ガムの値段はだいたい100円前後である。
従って、必ずしも入れなければならない属性かどうかは微妙になってくる。
大切なことは、後々シミュレーションを行う上で、重要な属性を含めていないと商品を構成できなくなってしまうからである。
消費者が注目しているであろう製品要素は、企業の担当者であれば大体分かるはずである。
どちらかが、どれだけ重要かは測定しないとわからないかもしれないが、大体何が大事かは分かる場合が多い。
ちなみに、ACAという手法では、属性をたくさん投入できるので、上記のようなケースで判断できないような、重要かどうかわからない属性を「とりあえず入れておく」ことが可能である。
CBCという手法では、おのずと属性数に回答負荷の観点から制限数があるため、上述の通り、ある程度、大切な要素を判断し、入れておくという観点が必要になる。
回答予定者を見極める bookmark
コンジョイント分析では(コンジョイントだけではないが)回答する人のプロフィールは気になるところである。
住宅の購入選好について効いているのに、既にマンションを買った人や全く住宅購入に興味のない人では意味がない。
これは極端な例であり、これを誤って設計する人はそういないであろう。
しかし、もっと細かい話になってくると、多々危ういケースが散見される。
例えば、属性に「ブランド」を入れた場合である。
コンジョイント属性のブランドでおおむね全てのブランドが網羅されていて、それに合う対象者がいれば良いが、このバランスが崩れている場合は問題になってくる。
SONY、HITACHI、SHARPと3ブランドのユーザーを含めたが、現Panasonicユーザーを含めていない、あるいは少ない。
そして提示ブランドは上記3ブランドに加え、PanasonicもSANYOも入っている。
こんな状況では、正しい市場やセグメントを反映できない場合が多い。また、その後のシミュレーション時に問題が出てくる可能性が高い。
コンジョイント属性(特にブランド)と現ユーザー等のバランスには注意しないといけない。
全員が理解できるものなのか bookmark
コンジョイント属性および水準はあたり前ではあるが、全調査対象者が正しく理解できなければならない。
調査対象者に様々な人が含まれる場合は特に注意すべきであろう。高齢者と若年者では言葉の理解の仕方も違うかもしれない。
また、水準一つとしては意味はわかるが、複数の属性を組み合わせた時に、矛盾したり、意味がわからなくなるようなものもまずいと言える。
全員がチョイスできる権利や状況を有するのか bookmark
属性水準は全ての人にとって、平等に選択できるようにならないといけない。
選べない水準が含まれるということは他の属性水準しか選択できないということになり、非常に偏った調査となってしまう。
「選択できる」=「選好できる」というこである。
乳児の紙おむつのサイズなどを水準にするときは注意が必要である。全対象者が全てに乳児サイズのおむつを選べるわけではない。これは「選好」という観点から好ましくない。
携帯電話のキャリア(ドコモやau等)などもかなりケース・センシティブである。
一般的にMNP制度などで電話番号を変えずにキャリアを変えることは不可能ではないが、メールアドレスが変わってしまったり、それなりのコストが生じるという点で、キャリア移動は障壁である。
従って、どの電話が良いですか?などとキャリアを含めて実施すると、単にキャリア別のシェアになってしまうことがある。
※無論、キャリア移動のシミュレーションをするのであれば問題ないが。
いずれにしても、自分や周りの人の身に置き換えて属性水準を想定して検証してみる必要がある。
客観評価になっている要素はないか bookmark
コンジョイントに限ったことではないが、多くの調査では、客観評価のデータは集めても仕方がない。
評論的に「自分は嫌いだけど、他の人は好きになるかもしれない」
これでは意味がないので、質問の仕方には気をつけるべきである。
コンジョイントはあくまでも個人の『選好』が根本にあるということである。
否定要素は入っていないか bookmark
否定的な水準は入れてはならない。
当然であるがトレードオフが発生しないからである。
時計のコンジョイントで精度:「やや不正確」などという水準が含まれる時計を選ぶだろうか。
※超高級ブランドではあるかもしれないが、それは時計の調査というより宝飾品の調査であるので異なるであろう。
否定的な水準が一つでも含まれた場合、とても選択できないような設定は避けなければならない。
